こんにちは、サイフォンです。
転職活動を始めていざ求人に応募してみると「〇〇月に入社できますか?」など1~2ヶ月以内などの短いスパンで入社できるか聞かれるケースがあると思います。
キャパシティが多く専門的な知識が比較的不要な求人ほど、こういう ”すぐに入社できること”が重要視 されるケースは多いと思います。(筆者の個人的な意見です)
僕がマレーシア勤務のコールセンター求人に応募した時もまさにこれでした。
とはいえ、会社での責任や立場が上がるにつれて短期間での退職は困難になり
転職先が決まって無いから退職もできず、退職していないから転職先も決めれず…というジレンマ。
そんなサイフォンの悩みを解決してくれた 雇用保険(失業保険)が今回のテーマです。
おおまかな認識として「雇用保険は自己都合退職だとすぐにもらえない」と思われがちですが、一定の要件を満たしていればすぐに給付されるケースもあります。
いくつかの要件がありますが、今回はその中でも時間外労働(残業や休日出勤)が多い場合について解説していきます。
僕も実際にこの方法で自己都合退職をしてから、すぐに雇用保険を給付してもらいながら転職活動をすることができたので同じような境遇の方は是非、参考にしてみてください。
雇用保険と給付制限
まずは雇用保険と給付制限について少し解説します。
【雇用保険】とは…失業中の生活の負担削減&再就職を促進させるもの。
一定の要件を満たせば失業期間中に給付を受ける事ができます。
【雇用保険の加入要件】
①勤務開始日より31日間以上働く見込みがあること
②1週間あたり20時間以上働いていること
③学生ではないこと(例外もあり)
【失業給付の受給要件】
①ハローワークに行き求職者登録を行う。就職意思があり就業可能な状況であるにもかかわらず、職業に就くことができない「失業状態」であること。
② 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。
※但し、今回紹介する「特定受給資格者」又は「特定理由離職者」については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。
【給付制限】
会社を自己都合退職した場合や自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合に雇用保険の受給手続から原則として7日間(待期期間)経過した日の翌日から2~3か月間雇用保険を受給できない期間があり、これを「給付制限」といいます。
※令和2年10月1日~離職された方は、自己都合退職の場合であっても、5年間のうち2回までは給付制限期間が2か月となりました。 参照元:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク
「職業訓練校に通う」ことでこの給付制限を解除する事も可能です。
ですが自分の就きたい職業で必要なスキルであるなら選択肢としてアリですが、給付制限を無くす為だけに望まない職業訓練校に通い時間を使うのはちょっと…という感じもしますね。
次にそもそも給付制限がかからない「特定受給資格者」と「特定理由離職者」を解説していきます。
特定受給資格者と特定理由離職者
「特定受給資格者」と「特定理由離職者」には給付制限がかかりません。
それぞれ対象となるケースが細かく分類されているので詳細は割愛しますが一部抜粋して紹介します。
特定受給資格者の範囲
①「倒産」等により離職した者 (一部抜粋)
・事業所において大量雇用変動の場合
・事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者
②「解雇」等により離職した者 (一部抜粋)
・労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者
・事業所の業務が法令に違反したため離職した者
特定理由離職者の範囲
①期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者
②以下の正当な理由のある自己都合により離職した者 (一部抜粋)
・配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
・結婚に伴う住所の変更
つまり、自己都合退職でも「この場合は仕方ないよね」ってケースが予め想定されて認められてるわけです。今回、該当となる「時間外労働が多い人」に関する項目は 特定受給資格者 の 「解雇」等により離職した者に分類される下記の通り。
(5) 離職の直前6か月間のうちに[1]いずれか連続する3か月で45時間、[2]いずれか1か月で100時間、又は[3]いずれか連続する2か月以上の期間の時間外労働を平均して1か月で80時間を超える時間外労働が行われたため離職した者。
上記の条件を満たす場合は特定受給資格者となり給付制限を受けません。
※特定受給資格者も特定理由離職者もその他複数の項目があります。
本記事では一部抜粋して紹介しているので詳細を知りたい方はこちらを確認してみてください。
特定受給資格者の証明方法(時間外労働)
時間外労働の条件が特定受給資格者の要件を満たし、退職する場合の手順は下記の通りです。
①受給手続きの際に直近6ヶ月のタイムシートと給料明細を持っていく
②ハローワークより元勤務先の会社へ給料明細やタイムシートに記載されている時間外労働との相違が無いか確認の電話があります。(捏造を防ぐため)
問題なく事実確認が取れればこれで終了です。
但し、元勤務先の会社が認めなかった場合は特定受給資格者の対象とならない場合があるので要注意です。会社側が認め(たく)ないケースとして想定されるのは
①「時間外労働は事実だが退職理由は時間外労働が原因じゃありません、〇〇と聞きました。」
などと言われる場合。
「次の仕事が決まりました」「自営業始めます」「地元に戻ります」など適当な退職理由を会社に伝えていると電話での事実確認の際にスムーズに進まない場合もあります。
※そもそも次の仕事が決まっている場合は失業状態ではありませんが…。
②時間外労働が法令で定められる基準を超過している
時間外労働が「特定受給資格者」の要件を満たしていても労働基準法に定められる範囲を超過している場合、会社側が隠したい場合も想定されます。基本的に労働者(求職者)を守る制度なので負けるような事は起こりにくいと思われますが事前に法令の範囲内かの確認をしている方がスムーズでしょう。
特定受給資格者(時間外労働)の退職による会社への影響
お世話になった会社、職場の仲間の事を考えると自分が特定受給資格者(時間外労働)での退職にすることで会社に対して指導やペナルティが発生してしまうのかというのが気になり、恩を仇で返すような退職とならないように調べたり、匿名で相談をしまくりました。
結果的には法令の範囲内の時間外労働なら会社へのペナルティは無し!
【時間外労働が法令で定められる範囲内の場合】
会社への是正指導やペナルティは無し。
時間外労働による「特定受給資格者」での退職者により助成金の申請に不利になるなどの影響も無し。
※但し、確認を取れているのは特定受給資格者(5)時間外労働に関してです。その他の雇用保険制度の「解雇」に該当する行為については助成金を受給できない場合もあるとのこと。
【時間外労働が法令で定められる基準を超過している場合】
ハローワークの職員さん曰く「雇用保険適用課としては労働基準法の確認をしている訳ではないので基本的には無いと思うが、手続き上の何処かで職員の目に止まり、労働局からの調査や是正指導が発生する可能性も無いとは言い切れない」との回答でした。対応する人によって差がでそうな印象の回答でしたが「法令の範囲を超過している」を気づいた場合、調査及び是正指導が入る可能性もあるとのこと。 (労働基準法32条違反)
円滑に受給手続きを進める為に
最後に僕自身が受給手続きをスムーズを進める為にしたことについて解説です。
・退職後に特定受給資格者として受給申請する事を事前に相談&報告する
「退職前に転職活動をすると内定後短期間で退職する事になり迷惑をかけるので、内定先が決まってないリスクを承知のうえで退職してから転職活動をします」「だからその手段として”特定理由離職者”として受給申請をします」と事前に相談をしました。
「それならすぐに就職活動をして内定先が決まったら退職しても良いよ」と言われても、それはそれで働きながら(収入を得ながら)転職活動できるので結果オーライですね(^-^)
・会社に不利益が発生しない事を調べ、事前に相談&報告をする
上記、 退職後に特定受給資格者として受給申請する事を 事前に相談&報告したうえで、会社に不利益が発生しないかを調べて報告しておくと尚スムーズに進むと思います。
使用者側の立場になると突然ハローワーク雇用保険適用課から電話で〇〇さんから「〇〇時間の時間外労働が発生した」と聞いているのですが正しいですか?と聞かれると少し身構えてしまいますよね。
事前に会社へのペナルティや面倒ごとが発生しないかを確認できたうえで報告することで尚良いと思います。
以上、自己都合退職でもすぐに失業手当をもらう方法(時間外労働の多い場合)について実体験をもとに解説させていただきました。
転職活動中の方の参考になれば幸いです(^-^)